もっと速くなるためのトレーニング方法のヒントを国内外の本・雑誌・ブログ・論文などから(ほぼ)毎日紹介します。
◆パワー・メーターを使ったVO2maxの推定方法 2011.10.28
参考文献:Andrew R. Coggan, Ph.D.・『TRAINING AND RACING WITH A Power Meter Journal』
2010.06.08・『How to estimate VO2max using a power meter』
http://www.trainingandracingwithapowermeter.com/2010/06/how-to-estimate-vo2max-using-power.html
VO2max(最大酸素摂取量)は、有酸素運動の上限であり、FTPはVO2max以上には上がらない。逆に言えばVO2maxとFTPの間に開きがあれば、FTPはVO2max近くまでまで上がる余地がある。つまりVO2maxとFTPがわかれば自分のFTPの伸びしろがわかる。
以下にリンクのExcel計算シートにVO2maxパワーの推定値や体重やFTPなどを入力すると、VO2maxの推定値やFTPの伸びしろなどのおおよその目安が計算できる(精度は高くないのであくまで目安)。
【VO2max計算シート】→
リンク(Excel)
VO2maxの推定のためのパワーデータの集め方は、以下の3通りがある。
1.連続的に運動強度を高める方法
疲労するまで少しずつ負荷を上げていき、1分間維持できる最高パワーを用いる。
2.適切な時間の一定ペース走を行う方法
約5分間維持できる最高のパワーを計測する。
3.パーシュート(追い抜き)スタイルの走行を行う方法
スタンディングスタートから始まる短距離のトラック競技(パーシュート)のように、最初に高強度で加速し4分間程度可能な限り早く走行する。この時1分半〜2分半経過時点よりパワーがある一定の水準に落ち着く。そのパワーを用いる。
このパワーを以下の式に代入するとVO2maxの推定値を算出できる。
VO2(リットル/分)=0.0108×パワー(W)+0.007×体重(s)*
*アメリカ・スポーツ医大が普段トレーニングをしていない人を対象にした調査より導き出した公式。他方、コーガン博士は、平均的にみるとこの公式は鍛えている人にもあてはまるとの見解。
上記3つの測定方法は、テストの時の負荷を上げるペースの差や、無酸素運動容量(1分半〜2分半程度出せる無酸素的なエネルギー供給回路)の個人差や、ペース配分の巧拙なども大きく影響するので、正確性の面ではやや問題が残る。しかしおおよそでもVO2max(パワー)がわかれば、今後のFTPの伸びしろを確認し練習計画に反映させることもできるので、大きなメリットがあるといえる。
具体的には、FTPがVO2maxとかなり開きがある場合は、FTPを集中的に鍛えることで、FTPを大幅に伸ばせる可能性がある。逆にFTPとVO2maxがかなり近い場合は、そこでかなり努力したとしても、FTPの大幅な改善は望めない*ので、他の能力を鍛えるようにした方が効果が高いと判断できる。
*理屈上は、VO2maxを鍛えて上昇させることができればFTPの伸びしろも増えるように思える。しかし成人の場合はVO2maxを上げるのは難しく、またオフに入ると元の水準に戻る傾向が強い(年次での累積効果がFTPほど期待できない)ので、FTPとVO2maxが近い場合はFTPの伸びしろは少ないと判断できる。
関連記事→
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リンク
またVO2maxの値(リットル/分)だけわかっている場合(VO2maxパワーが不明な場合)は、上記公式を変形させた以下の算式を利用すると、VO2maxパワー(FTPの上限)のおおよその値が算出できる(あくまでおおよその目安)。
VO2maxパワー(W)=(VO2max<リットル/分>-0.007×体重<s>)÷0.0108
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