もっと速くなるためのトレーニング方法のヒントを国内外の本・雑誌・ブログ・論文などから(ほぼ)毎日紹介します。
◆年間トレーニング計画の立て方(ピリオダイゼーション) 2011.11.16
参考文献:JOE FRIEL監修・『The Cyclist's TRAINING DIALY』・P3〜7, 22, 23・velopress.com
ツール・ド・おきなわが終わり、ほとんどのロードレーサーがオフに入り来期の計画を練る時期になった。計画を立てずにとにかくロードバイクに乗ってその日の体調と相談しながら練習メニューを決めるという方法で、かなり強くなる選手もいるが、レベルが上がれば上がるほど何らかの根拠にもとづいた「構造化された」「システマティックな」トレーニングを行う傾向がある。ここでは英語圏で広く知られている「ピリオダイゼーション(期分け)」の手法を用いたトレーニング計画の作成手順を紹介する。
この方法は以下の9つのステップから成る。
1.来期の最終目標を決める
最終目標は多すぎると実行が難しくなるので最大3つとする。この目標は「現実的で」「測定可能」なものにすることが重要。目立つところに書き出し毎日読み返すようにすると、モチベーションを高く保つのに役立つ。
例:「乗鞍ヒルクライムのチャンピオンクラスで30位以内に入る(目標タイム1時間3分以内)」
2.トレーニング目標を明確にする
最終目標を達成するために必要な体力レベルなどをはっきりさせる(最大5つ)。これも最終目標と同じように「現実的で」「測定可能」なものにすることが重要になる。
例:「●●峠を3本連続で・18分台・平均320Wで上れるようなる」
3.年間練習時間を設定する
生活と目標のバランスを取りながら現実的に可能な「年間練習時間」を推定して設定する(なお、練習時間と到達できる実力レベルには密接な関係があるといわれている)。
関連記事→
レベル別の年間練習時間の目安
4.年間カレンダーや日記帳・手帳など記録を残すためのものを準備する
かなりおすすめ→
The Cyclist's Training Diary(英語だが文章は少なく簡単)
5.出場予定のレースをリストアップする
6.レースに優先順位をつける(高・中・低の3種類)
「高」のレースは最大3つまでとする。最重要レース(最終目標と同じ)としてピーク調整を行う。
「中」は最大8つまでとする。ピーク調整は行わないがレース前の数日間は練習を軽めにする。
「低」はレース強度での練習の一環。数に制限はないが、多すぎると怪我やオーバートレーニングになる可能性があるので注意する。
7.各トレーニング期間の配分を決める(移行・準備・基礎・強化・ピーク・レースの6種類)
関連記事→
ピリオダイゼーション(期分け)の各期間の目安
8.週間の練習時間を決める
年間練習時間をもとに各期間・週ごとに練習時間を決定する(
The Cyclist's Training Diaryの抜粋を以下リンク先に掲載・詳細は同書をご参照)。
週間の練習時間の目安→
リンク(Excelシート)
9.各期間ごとに最も重要な練習メニューを重点的に行う
『ピリオダイゼーション(期分け)の各期間の目安』と以下の練習内容を参考に、週ごとに最も重要な練習メニューを書き出し、そこを重点的にトレーニングする。
筋トレ:ウェイトトレーニング
持久力:LSDやLT走などにより全身持久力やLTを高める
筋力:峠や向かい風で必要となる大きなトルクを出す力の養成
スピード・スキル:ライディングフォームや走行技術を磨き走りの効率を高める
筋持久力:重いギアを長時間踏むトレーニング
無酸素運動能力:ロング・スプリントや短い坂で必要な高いパワーゾーンでの疲労抵抗力を鍛える
スプリント能力:短時間の全力走で最大パワーを高める・疲労がない時に行うのがベスト
テスト:回復週に行い進歩の度合をチェックする
注:年間トレーニング計画の作成手法は、各選手やコーチごとにそのアプローチはかなり違い「その方法が合うか合わないかの個人差」も大きいことから、最終的にどの方法を使うかは自分自身で判断する必要がある。
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<本件記事の参考文献>
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