もっと速くなるためのトレーニング方法のヒントを国内外の本・雑誌・ブログ・論文などから(ほぼ)毎日紹介します。
◆LSDのコツは走行距離を気にせずに楽に長時間走ること 2011.10.24
参考文献:浅井えり子著・『新・ゆっくり走れば速くなる』・P10〜63・株式会社ランナーズ
桜井智野風著・『ランニングのかがく』・P141〜143・秀和システム
言いたい法大・『よくあるLSD理論の勘違い』・
http://yamashin.client.jp/LSD.html
サイト名不詳・『LSD脂肪燃焼効率を高める』
http://members3.jcom.home.ne.jp/saroman_project/saroman-body(8).html
LIVESTRONG MODERATELY.さん・『Come on, Let's LSD』
http://9-26.way-nifty.com/livestrong/2006/03/lsd_9103.html
LSDは、初心者にとっては「持久力を高める効果」が高く、レベルの高い競技者にとっても「高強度トレーニングの疲労を抜く」「コンディションを整える」「シーズン初期に高強度の練習を行うための土台を作る」といった意味で有効なトレーニング方法のひとつだ。
ロードバイクの練習では、ついつい「100q走った」「200q走った」と距離に意識が行きペースを上げがちになるが、LSDの場合、距離は問題にならない。LSDの重要な目的のひとつは「毛細血管の末端にまで強い圧力をかけ、毛細血管の発達をうながすこと」だが、これは長い時間ゆっくり止まることなく走り続けることで効果が最大化する(逆に、高強度の練習では毛細血管の末端の血流量は増加しない)。その意味でLSDのコツは「走行距離を気にせずに楽に長時間走ること(走った時間にだけ注目すること)」といえる。
注意点としては、LSDはまとまった時間をコンスタントに取れない場合は、効果が余り期待できない点だ(特にレベルの高い競技者ほどその傾向が強い)。すでに体がかなりできあがっており、練習時間が短いのであれば、割り切って高強度トレーニングや筋トレに集中した方が効率がよい。
また、LSDで持久力や高強度の練習に備えたベースはできるが、ロードレースやクリテリウムのように高強度のインターバルが繰り返しかかるようなレースで必要な力は身に付かない。そういったレースで好成績を残したいのであれば、LSDに加えて高強度トレーニングが不可欠になる(ゆっくり走るだけでは速くならない)。
その他LSDを用いて体内のグリコーゲン貯蔵量を増加させる方法としてマラソン選手の浅井えり子氏は以下のような手法を紹介している(注:あくまで参考情報)。
LSDペースで無補給でゆっくり走り、疲労感が強くなってきてもそのまま走行し体内のグリコーゲンを枯渇させる。体内のグリコーゲンが枯渇してくると全身疲労感が強まってくるがこれを我慢して走り続けることで、皮下脂肪が分解されエネルギーに変わる。またこのような状態に対して体の防衛反応が起き、体内のグリコーゲン貯蔵量が高まり、最終的にスタミナが増すという理屈だ。この手法で体内のグリコーゲンを枯渇させた場合は、再度フル充填されるまで約2日間(48時間)かかるので、連日行うことは避けるべきと言える。
ただしロードバイクで1時間400kcal消費するペースで走行した場合、体内のグリコーゲン貯蔵量1,600〜2,000kcalと脂肪とグリコーゲンの使用比率50:50考えると8〜10時間かかる。その間無補給で走るのは現実的ではないので、この手法をそのままロードバイクで用いるのは無理がある。また脂肪の燃焼にはグリコーゲンがが必要なので体脂肪の燃焼促進効果が本当にあるのか疑問が残る点や、ロードバイクでの実践例は聞かないのであくまで参考情報まで。
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