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◆肉体の疲労と疲労感(脳の疲労)は必ずしも一致しない 2011.10.03
参考文献:桜井智野風著・『ランニングのかがく』・P90〜91・秀和システム
疲労のメカニズムは完全に解明されていない。近年TV番組で「FFという疲労物質が見つかった」との報道があったが、これで疲労の全て解明されたわけではない。疲労に関係すると言われている物質の増減(筋肉の疲労)と疲労感(脳の疲労)は必ずしも一致しないとの研究結果もあり、疲労は複雑なメカニズムにより起こっている。疲労感については「4分の3理論」という興味深い説がある。
ヒルクライムの時やローラーでの1時間TTをした場合に、総距離や時間の4分の3あたりで苦しくなることがある。これは、ランニングでも100m走でも70mあたりできつくなり、マラソンでは30qあたりで足が動かなくなることとよく似ている。ここからわかるのは「距離に関係なく『行う』と脳が認知している総距離の4分の3程度のあたりで人は疲労を感じることが多い」ということだ。
運動生理学者はこの理由を「運動中に筋肉が蓄えている燃料を使い切ることを避けるために、脳が運動のタスクの重さに応じてどこで疲労を出すかを設定しているから」と説明している。この説を取れば、脳は運動の際に全行程の4分の3あたりに疲労感が出るポイントを設定しているということになる。
つまり実際は疲労物質などが増加していないのに疲労感が発生しているケースもあると考えられ、この場合は苦痛に耐えればそのまま運動は続けられる。そもそもそのような「ニセ」の疲労感を発生させないためには、「目標設定を長め置いて実際は早目に切り上げる」など脳が設定するプログラムを書き換えるようひと工夫する必要がある。
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