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◆平坦路では高速になるほど重いことが不利でなくなる 2012.01.07
参考文献:EDMOND R. BURKE博士著・『HIGH-TECH Cycling』・P10~11・Human Kinetic社
参考URL:ウィキペディア
ファビアン・カンチェラーラ→
リンク
トニー・マルティン→
リンク(日本語) リンク(英語)
平坦路では重力の影響が少ない一方で、高速になるほど空気抵抗が急激に増加するので、重さ対策よりも空気抵抗対策のほうがはるかに重要になる。もちろん平坦路でも他の条件が同じ場合、自転車の重量が重いほうがタイヤが変形し転がり抵抗が増すので走行速度は若干遅くなる。しかしその影響は、速度が上がれば上がるほど少なくなる。
具体例でみてみよう。
『HIGH-TECH Cycling』によると、40㎞TTを時速24㎞/h(15マイル/h)で走行した場合、自転車の重量が+1㎏重くなると約5秒半のタイムロスになる。これが32km/h(20マイル/h)の場合は約2秒、40km/h(25マイル/h)の場合は約1秒、48km/h(30マイル/h)の場合は約0.7秒程度という具合に、速度があがるほどタイムロスは少なくなる。
これに対して空気抵抗は、速度の2乗に比例して大きくなる。
その結果、時速48km/h(30マイル/h)で走行した場合、垂直に立てたわずか12㎝の鉛筆1本が生み出す空気抵抗の大きさが、自転車の重量+1㎏増加による抵抗増加分とほぼ等しくなる。つまり「自転車の重量を1㎏軽くする」のと「鉛筆1本分の空気抵抗を減らす」のが同じ効果ということだ。ほんのわずかでもケーブルがはみ出していると、この鉛筆1本分と同程度の空気抵抗が発生してしまう。その意味では、TT機材のケーブルなどは極力はみださないように処理することがひじょうに重要になる。またTTではポジションや機材をとことん煮詰め「空気抵抗を極限まで減らすこと」が、競技成績に大きく影響する。
平坦路でのTTを得意とする選手には大型の選手が多い。
現在、世界最強のタイムトライアルのスペシャリストのであるファビアン・カンチェラーラは身長186㎝・体重82㎏もあり、2011年の世界選手権TTチャンピオンのトニー・マルティンも身長185㎝・体重75㎏とやはり大柄だ。これは前述のように、平坦コースでは高速になればなるほど筋肉が多い(=体重が重い)ことのデメリットが少なくなることが大きな理由のひとつと思われる。つまり筋肉量増加による絶対的な出力(≒走行速度)向上のプラス効果が、体重増加のマイナス効果を上回るということだろう。
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<本件記事の参考文献>
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