もっと速くなるためのトレーニング方法のヒントを国内外の本・雑誌・ブログ・論文などから(ほぼ)毎日紹介します。
◆「糖質入りドリンクで口をすすぐとパフォーマンスが改善する」という研究事例 2012.03.30
参考文献:アレックス・ハッチンソン著, 児島修訳・『良いトレーニング、無駄なトレーニング』・P302~305
草思社
ギャレット/カーケンダル編, 宮永豊総監訳・『スポーツ運動科学』・P102, 103・西村書店
八田秀雄著・『乳酸を使いこなすランニング』・P32・大修館書店
ロード・レースの終盤で糖質入りドリンクを飲むことに意味はあるのだろうか。ゴールまであとわずかな時に糖質を摂っても、消化が間に合わないので無意味にも思える。そもそも疲労困憊でとても飲み込む気になれないかも知れない。しかし、そのような場合でも「糖質入りドリンクで口をすすいだほうがよい」という興味深い研究結果がある。
2009年にバーミンガム大学で自転車競技選手を対象に行われた研究では、ぶどう糖またはマルトデキストリン入りのドリンクで口をすすいだ場合には、タイム・トライアルのタイムが伸びたものの、人工甘味料入りのドリンクで口をすすいだ場合にはまったく改善が見られなかった。脳スキャンによると、ブドウ糖またはマルトデキストリン入りドリンクを摂取した選手は脳の中心部に反応がみられたものの、人工甘味料では見られなかった。つまり口の中には炭水化物を感知するセンサーがあり、糖質入りのドリンクを口に含むと即座に(実際に飲み込まなくても)脳に何らかの信号が送られるので、結果的にパフォーマンスの改善につながるのだと考えられる。
その意味では、厳しいロード・レースの最終局面で「ドリンクは体がとても受付けない」ような状況であっても、糖質入りのドリンク(スポーツ・ドリンクなど)で口をすすぎ・吐き出したほうが、よい結果が得られるかも知れない。
また1時間以内といった比較的短時間で高強度トレーニングを行う場合にも、糖質や水分補給がパフォーマンス改善に役立つとの指摘もある。平日にローラーで追い込む時に糖質入りドリンクを準備しておけば、「練習の質」をより高められる可能性があるだろう。
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<本件記事の参考文献>
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