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速くなるためのヒント         

もっと速くなるためのトレーニング方法のヒントを国内外の本・雑誌・ブログ・論文などから(ほぼ)毎日紹介します。

◆カンチェラーラが世界最速のタイム・トライアル選手である8つの理由 2012.01.26
参考文献:Robert Panzera著・『Cycling FAST』・P55・Human Kinetics社
     ハンター・アレン アンドリュー・コーガン博士共著・『パワー トレーニング バイブル』・P86
     OVERLANDER株式会社
     ふじいのりあき著・『ロードバイクの科学』・P23・スキージャーナル株式会社
参考URL:TRAINING4CYCLISTS.COM
     『8 Reasons Why Cancellara is the Fastest Time Trialist in the World』→リンク
     ウィキペディア
     ファビアン・カンチェラーラ→リンク
     アンディ・シュレック→リンク
     YouTube:http://www.youtube.com/watch?v=bN2zpgun0vc&feature=related

カンチェラーラは世界最速のタイム・トライアル選手のひとりだが、なぜあれほど速く走れるのだろうか?これについてTRAINING4CYCLISTS.COMでは8つの理由をあげて説明しているが、これについて補足を交えながら紹介する。

1.タイム・トライアルに適した体格
大柄なライダーは、平坦のタイム・トライアルを得意とすることが多い。80㎏あたりが平坦のタイム・トライアルに最適な体重と思われるが、カンチェラーラの体重は82㎏(身長186㎝)でまさにその辺りだ。これは平坦では高速になるほど重量が不利にならないことや、風が強い場合には体重がある重いほうが走行への影響が少なくなるからと思われる。理論上は、パワー・ウェイト・レシオが高ければ同じ速さで走れるはずだが、体重が相対的に軽いクライマーは風が強い平坦コースでは苦戦することが多い(代表例はアンディ・シュレックが挙げらえる。アンディ・シュレックの身長は186㎝とカンチェラーラと同じだが、体重は68㎏とカンチェラーラよりも14㎏も軽い)。

2.飛びぬけて高い身体能力(生理機能)
プロ・サイクリストの身体能力(生理機能)は、一般選手に比べて飛びぬけて高いレベルだが、カンチェラーラの身体能力はその中でも特筆すべき高さだと思われる。特に閾値パワー(LTパワー・FTP)のパワー・ウェイト・レシオがかなり高いことは間違いないだろう。『パワー・トレーニング・バイブル』P86のパワー・プロフィールによると世界トップクラスのFTPは5.78~6.40W/㎏なので、カンチェラーラのFTPは473~524W程度と推定される。

3.優れたエアロ・ポジション
タイム・トライアルは空気抵抗との戦いで、高速域では出力の90%近くが空気抵抗を乗り越えるのに使われる。ふじいのりあきさん著の『ロードバイクの科学』では「空気抵抗の中でもっとも大きい割合を占めるのは人間の抵抗で、全空気抵抗の70~80%といわれています。」と説明されているが、ここからも空気抵抗の最小化には、いかに最適なエアロ・ポジションを取ることが重要かがよくわかる。空気抵抗を減らせば減らすほど、同じ出力で出せるスピードは速くなる。機材ももちろん重要だが、「もっとも空気抵抗を減らすのに効果があるのは最適なエアロ・ポジションを身に着けること」ということは覚えておきたい。

4.空力に優れた機材の使用
空気抵抗を極限まで減らすには、機材の選定も重要になる。カンチェラーラの使用機材が、他のプロ選手の機材よりも空力に優れているかは不明だが、カンチェラーラは空力をより高めるためにかなり頻繁に機材に手を入れているのは事実のようだ。最も空力の高くなるバイクのセット・アップをチェックするベストの方法は、風洞トンネルを利用することだが、カンチェラーラはこれを有効に活用していると思われる。

5.精神力
タイム・トライアルは長時間出し続けることができる限界ぎりぎりのパワーを維持しなくてはいけないので、強い精神力が必要になる。また最初に飛ばし過ぎるとあとで失速するので、最初の興奮状態を押さえこむ強い自制心も必要になる(これはタイム・トライアルでの最重要スキル「ペーシング」の一部といえる)。カンチェラーラが、「タイム・トライアル中の苦しみ」や「出走直後の興奮状態」をうまくマネージする強い精神力を身に着けているのは間違いないだろう。

6.タイム・トライアルに特化したトレーニング
カンチェラーラは閾値パワーを向上させる内容に最適化された「タイム・トライアルに特化した練習」を行っていると思われる。巨大な有酸素運動のエンジンを作り上げるには、少なくとも数年間にわたって相当量の質の高いトレーニングが必要になるが、カンチェラーラはこういった地道な練習を積み重ねてきたはずだ。

7.重要レースに向けたテーパリング
テーパリングを適切に行えばパフォーマンスは向上させることができる。そのためにはレースに優先順位をつけて、最も重要な大会に向けて適切な手順を踏むことが重要になる。カンチェラーラも、テーパリングの手法を用い重要レースにピーク・パフォーマンスを発揮できるように調整している可能性が高い。

8.その他要因
よく理由はわからないものの「あの選手はとてつもなく速い」ということはよくある。プロ・サイクリスト自体が一般サイクリストからするとそういった存在だが、プロの中でもカンチェラーラもそのような一人なのかも知れない(現在の科学ではまだ知り得ないその他要因があるのだろう)。



最後にカンチェラーラ激走の映像をYouTubeより紹介する。

【Fabian Cancellara champion du monde contre la montre.mp4 】





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関連記事→一流プロと体組成を比較 ファビアン・カンチェラーラ
     パワー・トレーニング・サポートツール(パワー・プロフィール一覧表あり)
     平坦路では高速になるほど重いことが不利でなくなる

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                     <本件記事の参考文献>



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