もっと速くなるためのトレーニング方法のヒントを国内外の本・雑誌・ブログ・論文などから(ほぼ)毎日紹介します。
◆「GoldenCheetahでのFTP算出方法」とその実用性 2012.01.14
参考URL:行け!おやじライダーさん
http://gogooyaji.seesaa.net/article/229682103.html
http://gogooyaji.up.seesaa.net/image/SC__593.jpg
http://gogooyaji.seesaa.net/article/242772000.html
Dr. Philip Friere Skiba, PhysFarm Training Systems LLC
『Analysis of Power Output and Training Stress in Cyclists
The Development of the BikeScoreTM Algorithm』・P8
http://www.physfarm.com/bikescore.pdf
参考文献:ハンター・アレン アンドリュー・コーガン博士・『パワー・トレーニング・バイブル』
P72~77, P140~142・OVERLANDER株式会社
パワー・トレーニング・強度を決定する基準になるFTPを、実際にテストをせずにかなりの精度で調べられる方法がある。それはフリーのパワー・データ分析ソフトのGoldenCheetahを使用してクリティカルパワー(CP)を算出する方法だ。この手法は
『行け!おやじライダー』さんがブログでたびたび紹介されているもので、普段からかなり追い込んだ練習をしている場合、かんたんに高い精度でFTPを推定できるひじょうに優れた方法だ。今回はその手順の詳細を説明し、その実用性についてのスキバ博士*の見解を紹介する。
*Dr. Philip Friere Skiba:TSSを改良したトレーニング負荷の指標であるバイクスコア(BikeScore)の開発者
クリティカルパワーの運動生理学上の定義は「ずっと維持できるパワー」のことで、各持続時間のベスト・パワーから理論値を算出することができる。これを手計算するのは大変だが、GoldenCheetah*を使えば自動的に算出してくれる。詳しい手順は以下のようなものだ。
*この方法はGoldenCheetahがインストールされているのが前提になる。GoldenCheetahの情報やダウンロードページは以下のリンクをご参照。
GoldenCheetah情報(日本語)→
リンク
GoldenCheetahダウンロードページ→
リンク
◆GoldenCheetahを使ったCP(=FTP)の算出方法
(使用ソフト:GoldenCheetah Version 2.0・ OS:Windowsを想定)
1.Golden Cheetahの現在使用しているアカウント(サイクリスト)のデータの保存先を確認する。
メニューの「ヘルプ」→「Golden Cheetahについて」の順にクリックすると、最下段にデータの保存先が表示される。
2.1で確認した「現在使用しているアカウントのデータを格納したフォルダー」が保存されているフォルダーを開け*、そこに新規フォルダーを作成する(このフォルダ名がCPを確認するための新規アカウント名になる)
*隠しファイルになっている場合は、隠しファイルを表示するように設定を変更する。
隠しファイルの表示方法→
Google検索
3.現在使用しているアカウントのデータが保存されているフォルダーを開け、「CPを調べたい期間のデータ(例:直近1~2か月分)」をコピーする。
4.2で作成した新規アカウントのデータ保存用フォルダーを開け、コピーしたデータを貼りつける
5.GoldenCheetahを起動し、メニューの「サイクリスト」→「開く」→(サイクリストの選択)新しく作成したアカウント名を選択→「開く」の順にクリックして新しく作成したアカウントを開く
6.上に並んだタブの中から「クリティカルパワー」をクリックするととクリティカルパワーが自動計算されて表示される(グラフの横軸の下にある凡例の一番左にある「CP=●●●W」の部分)
『行け!おやじライダーさん』の画像→
リンク
それでは、このクリティカルパワーをFTPとして使用することの実用性はどうだろうか。
クリティカルパワーをFTPとして用いることについてスキバ博士は、『
Analysis of Power Output and Training Stress in Cyclists』の8ページで以下のようにその実用性を認めている。
「(前略)クリティカルパワーは1時間の最大「閾値」パワーとかなり近いとわかる。(中略)シンプルに短時間(3分)と長時間(20分)の全力で行ったテスト結果を使った場合によい結果が得られる。(中略)1時間の最大パワーと計算上のクリティカルパワーの差異は、実際問題として無視できると確信するに至った。クリティカルパワーのパラダイムは、トレーニング・スケジュールに悪影響を与えることなく選手を評価するためのフレーム・ワークを提供してくれるといえる。」
この方法で注意点があるとすると、
精度の高いCPを得るには、使用するデータの中に3分(短時間)や20分(長時間)で全力で行ったインターバルが含まれている必要があるという点だ。つまり「最近はL2でLSDしかしていない(=全力をふりしぼるような練習をしていない)」「最近L6で30秒のインターバルばかりしている」といった場合には、残念ながらこの手法は使えない可能性が高い。
しかし普段からローラー練やチーム練などで3分や20分といった持続時間で追い込んだ練習している場合は、そのデータを用いることでかなり正確なCP(=FTP)を算出できるだろう。FTPは練習によってシーズン中でもかなり変動するが、現時点での正確なFTPを高い頻度(例:1~2か月ごと)で確認できれば、トレーニング強度の設定がより正確になり、もっと高い練習効率が期待できるようになる。わざわざ定期的に別途テスト(高回転ペダリング1分×3本→5分全力走→20分TT*)をせずに手軽にFTPを算出できる方法なので、活用されてみてはいかがだろうか。
*『パワー・トレーニング・バイブル』P76~77で推奨されているFTP計測テスト手法
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