ロードレーサー初心者のかた向けに、すこしずつレベルアップするためのヒントをわかりやすく紹介します。
◆ケイデンスの「高い」「低い」が大事なわけ 2011.11.20
「ケイデンス」ということばを聞いたことがあるでしょうか?これは自転車以外ではまず使わないことばですが、「ペダルの回転数」のことです。
例えば、1分間あたり90回転した場合は、「ケイデンスは90」「ケイデンスは90回転」「ケイデンスは90rpm(アールピーエム:revolution per minute・・・『回毎分』の略)」といったりします。
このケイデンスはロード・バイクではパワーや心拍数などとならんで、かなり重要な数字としてよく分析されたり練習やレースのレポート(含むブログ)などに記載されていたりします。
なぜ回転数がそれほど大事なのでしょうか?
いちばんの理由は、同じパワーを出していても回転数が「高い」か「低い」かによって体への影響がかなり違ってくるからです。ひじょうに単純化していえば、ケイデンスが低ければ筋肉に負担がかかり、高ければ心臓に負担がかかるという特徴があります。
もう少し詳しく説明しましょう。
まずケイデンスが低い場合です。
ある一定のパワーを出そうと思うと、ケイデンスが高い場合よりもペダルを踏む力が大きくなります。大きな力を出すためには筋肉の中にある素早く使えるエネルギー源(筋グリコーゲン)を使う割合が高くなります。
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このエネルギーは筋肉の中にあるものを使うので、心臓への負担が少ないというメリットがあります。同じパワーを出すのであれば、ケイデンスが低いほうが普通は心拍数は低くなります。
しかしその反面、低いケイデンスで走っていると、体内貯蔵量に限りがある筋グリコーゲンがどんどん減っていき、やがて「突然大きな力を出して踏むことができなくなってしまう」というリスクがあります。
次はケイデンスが高い場合です。
ケイデンスが高いとペダルを踏む力が小さくなるので、エネルギー源としては脂肪の利用比率が高まります。ですからケイデンスを高くすると「筋グリコーゲンを使う量を減らすことができ、より長時間運動できる可能性が高まる」というメリットがあるといえます。
その一方で、脂肪を分解してエネルギーに変えるには酸素が必要なので、その分心臓は酸素を含んだ血液をたくさん送るために、より速く・強く鼓動しなくてはいけません。つまり心臓への負担がその分だけ高まります。高いケイデンスで走り続けるには、心臓が十分に強い必要があるといえます。
またペダリングの回数が多くなる分、力をペダルに伝える技術(ペダリング技術)が低い場合は、それだけムダな力(パワーロス)が増えてしまうことになります。つまりせっかっく忙しく回しても、ペダルに伝わらない力がムダに増えてしまうリスクがあります。
ケイデンスをチェックするとよいのは、レースの時のデータや、峠のタイムを計ったなど時です。
レースの終盤で突然足が動かなくなったケースを考えてみましょう。
レース後にデータを検証してみると、足が動かなくなるまでのケイデンスが極端に低かったとします。この場合は「重いギアを踏みすぎたので筋グリコーゲンを過大に使ってしまっていたことが原因だ」とわかります。これを反省して、次回からもう少しケイデンスを上げるよう意識することで、次のレースでは最後の勝負どころまで筋グリコーゲンを温存できるかも知れません。
次に峠のタイムを計った時に、途中で心臓がいっぱいいっぱいになりタイムもあまりよくなかったケースを考えてみましょう。
帰宅してからデータを検証してみると、ケイデンスがいつもよりかなり高く、心拍数も限界に近いところに貼りついていたとします。この場合は「必要以上にケイデンスを上げ過ぎたので心臓が先に限界まで達していた」「筋グリコーゲンは温存できたものの、結果として最高のパワーを発揮することができなかった」と考えられます。次回はケイデンスを少し落とすことで、タイムを短縮できるかも知れません。
それでは、ケイデンスはどのあたりを目指すべきなのでしょうか?
「90rpmが理想的なケイデンス」といわれることが多いですが、これは「筋肉と心臓への負担のバランスが適度なケイデンスは90rpmあたりの人が多そうだ」という意味です。
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レースでの理想的なケイデンス
しかし、実際には初心者の段階で90rpmで回し続けるというのは、けっこうきついはずです。また、かなり速くなったとしても(トップレベルのプロでも)個人差がかなりあるのが実際です。その意味では、ケイデンス90rpmはあくまで目安として考え、各速度帯で自分がいちばん長く大きな力を出せるケイデンスを少しずつ見つけていくのが現実的でしょう。
<関連情報>
『ペダリング技術の向上で実力は上がる?』
CYCLING TIME.com→
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